ワクワクしない異世界転生ギャグコメディー

第一話 気づけば天界

異世界追放!不合理な人生に救済を-第一話

***

オレは気がつくと真っ白い空間に浮いていた。
正確には意識だけで自分の身体などは目に見えない。

目の前には白い翼の生えた小柄なブロンドヘアーの少女が微笑んでいる。

あれか?これは天国だろうか?
金髪少女はただ黙ってニコニコしている。ちょっとイラッとする。

「おいチビ、ここは天国か?」

声が出せるか心配だったが大丈夫なようだ。

「チ……そうですね。アナタには説明が必要ですよね」

金髪少女が勝手に納得した様子でウンウンと頷く。
ロリコン受けしそうだが、オレは違うらしい。

「と言うかオレはオレの性別すら覚えていないんだが。
……口調からして男か?」

おかしい事に人生があった記憶はあるが、
自分の存在がすっぽり抜けている。

「ええ、アナタは男性でした。そしてここは天国ではなく天界です。
簡単に言うと死者が最初にたどり着く場所ですね」

そう言って金髪少女は微笑む。

「ふむ、オレが男だったのは朗報だな。
ちなみにオレはなぜ死んだんだ?」

少なくともオレが寿命で無い可能性が高い。

人生の記憶が40歳くらいまでしかないのだ、
一般常識レベルしか覚えていないが。

「ああ……アナタは不幸にも、
・誰も気がつかない「突発的に発生した大型の隕石」が、
・アナタの周囲800mに誰一人いない状況で、
・後頭部に直撃して、
……死亡したのです」

金髪少女が「ヨヨヨヨ…」と泣くまねをしながら語る。

「おぃ、いくらなんでもオレに対して、
作為的ななにかを感じるんだが?」

地上に落下する巨大な隕石なら誰かが気づくだろう。
被害がオレ単体なのもおかしい。

しかも後頭部に直撃ということは、
オレすらそれに気づいていない。

「いくらなんでも状況が作られすぎじゃないか?」

ふと金髪少女の視線に目をやると、
オレの肉体が実体化している。
服装を見るにジャージ姿で死亡したらしい。

視線の先でオレは震えるほど強く拳をにぎっていた。

「あーそう怒らんでくださいよ。
……まぁぶっちゃけますと『天罰』というやつです。」

天罰……と言うことはオレはこいつに殺されたのか。

「アナタはね、現世で正直に言うとドエライ迷惑な存在なんですよ。
ヤンキーが自分の部下をカツアゲしたら、
報復としてそいつの学校の全校生徒殲滅しちゃう感じ?
何と言うか1つ善行っぽいことををする為に、
千人以上不幸にしちゃう人で割に合わないのよ。」

なるほど、だが法規制や戦争とは、
そういうものではないだろうか?

オレだけじゃない感がとてもある。

「まーアナタの行動が全部悪いわけじゃないですけど……。
現世でアナタを止められる存在なんて皆無だったわけで。
ま、手っ取り早く天界で潰してしまおうとなったのです。」

ふむ、要するに面倒くさいから、
世話する手間を省いて消したのか。

「そして別のもっと強者がいる世界で善行をやり直してもらおー!
という感じです。ご理解いただけました?
性格がムリムリ~って感じで最悪だったので、
おまとめ簡単操作で記憶も消して見ました♪」

いかにも満足そうな笑みで「テヘッ」と笑うが、
少なくともオレには朗報ではない。

「なるほど、お前らの言い分はわかった。
オレにも否があったのだな……」

オレは大人だ、こんな子供にいちいち腹は立たない。

「~~~~~~!!!」

アイアンクローしている金髪少女の顔が、
赤くなったり青くなったりしている。

「……すまん」

身体は正直だったらしい。

オレがそっと金髪少女の頭部をはなすと、
少女は「うぉぉぉ……」とうめきながら、
頭を抱えてうずくまった。

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http://novel.comico.jp/challenge/28386/