異世界転生のチャンスがあってもこれはイヤ(ボツ案)

異世界転生5分前

オレは人生のあとの岐路に立たされていた。
目の前には自称女神とかいう水商売風のお姉さんがうつむいている。

彼女が「YES」と言えば、オレは夢にまで見た異世界への転生が出来る。

彼女が「NO」と言えば、オレはまた同じ親の子供としてスタートへ戻る。

実はこういうことだ。
オレ、飯田猛<いいだたける>40歳はとある事情で現世で死亡してしまった。

大学受験に失敗してバイトの面接すら受からなかった18歳の春から22年、
自室にこもって夜になるとコンビニに行く俺の人生は幸せではなかった。
ゲームや漫画の中だけが俺の世界の全てだった。

いつも通り夜にコンビニでジュースと菓子を購入した時、
コンビニにヘルメットをかぶって包丁を握り締めた男が入ってきた。
まぁ、いろいろあったがオレはどうやら店員をかばって刺されて死んだらしい。

良く覚えていないが、話を戻そう。
全く善行を積まなかったオレは、「店員を救えれば願いが叶い」「救えなければやり直し」なのだ。

自称女神は深刻な顔をして目をつぶっている。
胸がなんだかドキドキしてきた。

「あ、逃げた」

自称女神がつぶやいた瞬間、目の前に草原が広がった。

『アナタのかばった人は刺されて犯人は逃亡。刺された人は一命を取り留めたから』

頭に自称女神の声が聞こえ、オレは自分と周囲を観察する。
結果はこうだ。

一応、人の命を半分救ったオレは、異世界で効率よく善行を積めるチャンスをもらったらしい。
風に揺れる草原とオレこと『雑草っぽい自分』は、この異世界で酸素とマナとやらを生産しつつ、
今日から世界に貢献していく。